挑む人たちの話は面白い
平出和也さんと中島健朗さんがK2の未踏ルートに挑戦中に滑落したというニュースが入って来た。クライマーの世界にとりわけ詳しいわけではないが、現在の日本人クライマーとしては最強と言われるお二人の活躍はNHK BSの放送などを通じてその映像を見て来た。普段あまりインタビューや対談本は読まない方だが、その平出さんを含む7人(広義でいう)の冒険家のインタビューをまとめた本が本屋で平積みされており、少し立ち読みすると平出さんのK2挑戦に関する思いも書かれていたので購入した。
『自分の限界を2つも3つも超えていかない限り、頂にはたどり着けないと思う』と評するK2への思いとそれに向けた未踏峰への挑戦に関わる発言は面白いし、パートナーだった故谷口けいさんへの言及、もし山から帰ってこなかったときのために中島さんとお互いの家族が支え合う関係性をつくりあげるといった発言は今読んでみると心が痛む。
7人の中でも最もメジャーな存在と言える平山ユージはつい最近もオリンピックで解説していたが、スケートボードの解説などに比べると落ち着いた語り口が印象的だった。このインタビューにおいても危険なフリークライミングはやらないなど、成し遂げてきた挑戦に比べると落ち着いた考え方が見え、危険なクライミングを世界の最高レベルの中でやり通し、次代の育成に向けても活躍中の王者のゆとりが感じられた。それにしても幾つになってもかっこいい佇まいだ。
角幡唯介と高野秀行はベストセラー作家でもあり、私もその著作は読んだことがあり、その語り口が面白いのは想像の範疇だが、倉岡裕之、前田泰次郎、石川仁の3人(後の二人は今回初めて知った)はそれぞれ独自の世界を持っており、その話し口は面白い。短絡的な締めになってしまうが、自分がやりたいことを揺るがずに進み、そのために必要なネットワークを創っていく人たちの話は面白いんでしょうね。
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